犯罪者へのリンチ・やさしい人への贈り物(上)


いまでは倫理規定が設けられたようで、テレビでも映画でも残酷なシーンは登場しません。しかし10年ぐらい前まで、平気で残酷ニュースが放映されておりました。

Tv7のニュースを見た。場所はデンパサール、白昼のできごと―。

恐ろしい光景であった。携帯電話を盗もうとした二人組みのチンピラを、村人がよってたかって嬲り殺しにしているシーンである。三分ほどであった。警察がやってきて犯人を連れて行くまでをテレビカメラが撮り続けていた。

犯人はサッカーボールのように容赦なく蹴られ、ときには踏みつけられ(アスファルトの上で、しかも頭部)、血みどろである。意識は朦朧としていつ死んでもおかしくない状態だ。

ようやく警察がやってきて犯人を車に乗せる。しかし警官がいるにもかかわらず、犯人に殴りかかる者もいて、おまけに警官も特に止めようとはせず、村人をなだめるような感じで(「まあまあ抑えて。俺も君たちの気持ちはわかる。でも仕事なんだよ」といった調子)、なんとか死ぬ一歩手前で犯人を連れていった。

映画などは残酷なシーンを上映禁止にしているが、こちらの方がより残酷であるにもかかわらず、ドキュメンタリーに関してはカットなしである。まだ小さな息子が「マッティ?(死んだの?)」と訊いてきた。どう答えてよいかわからず、黙っていた。長年インドネシアに住んでいても、こうやってリアルなシーンを見るとやはりカルチャーショックは受ける。

(以下、次号に続く)


※過去人気のあった(?)シリーズを加筆修正してお届けしています。

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