ハルと女房、怒髪天を衝く(上)


なぜ「怒髪天を衝く」なんて古めかしい表現を使ったのかといえば、ハルも女房も猛烈に怒っているからである。その理由は―。

もう十年以上前の話。親戚がマナドで漁師をしている。年は35歳ぐらい。マナド出身の色白女性と結婚。子供は二人。ジャカルタにいても大していい仕事にありつけないとマナドに移住することにした彼。

ふつうは田舎からジャカルタへ出てくるものだが、彼の場合は逆であった。奥さんの一家(一族)が猟師町(村)に住んでおり、漁を手伝えば、食うに困ることはない。まあ賢い選択であったいえるかもしれない。

最初は奥さんの兄の船に乗って漁を手伝っていた。そのうち要領を掴んできて、船の操り方や漁のコツを覚えていく。頭が良かったのだろう。そのうち、手伝いだけでは物足りず、いずれは自分の船を持ちたいと思っていた。

そうした矢先、ごく近い親戚の娘(ハルの女房)が日本人のお金持ち(その頃はハルも羽振りがよかったのだ)に嫁いだとわかり、いてもたってもおられず、マナドから女房・子供を連れてハル宅を訪れるのであった。

(次号に続く)


※過去人気のあった(?)シリーズを加筆修正してお届けしています。

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