あまりにも痛ましい話(前)


数年前の話―。テレビのニュース特集(インドネシアのニュース)を見ていたところ、女房が目に涙を浮かべて「この事件は、とても可哀想なの」と言った。

結構な滞在暦にもかかわらずインドネシア語の超苦手な編集長ハルは、当然テレビで、どんなことが話されているかよくわからない。画面(その事件の再現フィルム)では、小さな子供が四人ベッドに横たわり、その母親(全員、役者です)が薬を飲んで苦しんでいる様を映していた。

この事件の内容は次のようなものである。

この家族は、出稼ぎに出ている父親、母親、11歳から1歳半の子供が四人の計六人家族で、インドネシアでは、ありきたりな貧困家庭でもある。父親は二週間に一度家に戻り生活費を入れ、そんな日々を平凡に送っていた。もちろん貯金などない。父親の得ていた収入は、細々と暮らしていけば、やっと生活できるぐらいの微々たるものだった。

さてその父親がいつも帰ってくる日に帰ってこない。それがたとえ二週間といえども、それを補えるほどの蓄えなどまったくない家族。最初の一週間ぐらいはなんとか持ちこたえたろうが、二週間目になるとまったく生活費のない状態となり、おまけに子供がデング熱にかかってしまった。父親にそのことを手紙などで打診するが、まったく音沙汰はない。

(次号に続く)


※過去人気のあった(?)シリーズを加筆修正してお届けしています。

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