快楽は一時、監獄は一生


薬(麻薬)をやっている人はハルの旧知にもいて(もう十年ぐらい会っていない)、さんざん止めるよう忠告したが、一向に止める気配なく、付き合うこともなくなり、数年前の暮れ頃、日本人の常習者がタンゲラン地区で捕まったという話を聞いて「ひょっとして彼も…」と一応の心配はしたが、その逮捕された面子には入っておらず、警察に知り合いのいるRさんは、警察の方から「お前の友達で~と~という奴がいたら、すぐ(薬を)止めるように言ってやれ」と助言をもらった。

以前は、お金さえ積めば、麻薬といえども簡単に出てこれた。ハルの旧知は十年ほど前100jutaを払って出てきた。「金で、カタつけたからね」とどこまでも粋がるアホな男であった。それからもう付き合いもなくなって、音沙汰も聞かなくなっていたのだけど、とりあえず捕まってはおらず、薬も止めたとか止められたとかいう話。ちなみにいま麻薬をやると終身刑に近い。お金を積んだら釈放なんてまずない。友人のお抱え弁護士は「ねえ、○○さん、麻薬だけは絶対やらないでね。いまは手の打ち様がないから」なのだそうだ。

それにしてもどうして麻薬に嵌るのだろう。これだけ多くの人が逮捕され、社会的問題になっているにも関わらず。アホやな、まったく。

麻薬をやればどんな気分になるか―。これは十年前その旧知から聞いた話である。

「ハルさんねえ、人間の体って細胞でできているだろう。(手の甲をつくづく眺めて)薬をやるとさあ、その細胞の一つ一つがはっきり見えるんだよ。その一つ一つに自分が入っていけるんだ。ハルさんはそんな経験できないだろうなあ」

ようするに幻覚ではないか。別にそんな経験をしたいとも思わない。かりにいままで味わったことのない経験ができるとしても、いまある家族や幸せを放り出してまでも、麻薬に手を出そうとは思わない。これはハルだけではなく普通一般人の共通した感覚である。

さてジャカルタ在中の皆様、ここはインドネシアです。日本のように初犯で微量なのでただの書類送検なんて絶対ありません。ちょっとした悪戯心、出来心で一生刑務所から出られないこともあります。昔見た映画「ミッドナイトエクスプレス」の主人公にはなりたくないですね。


※過去人気のあった(?)シリーズを加筆修正してお届けしています。

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