運転手を首にした話(1)


数年前の話…

愛想の悪い運転手であった。ハルだけにではなくハルの女房や家族、JPのスタッフ、彼に接するほとんどの人にそう思われていた(言われていた)。

ぶっきらぼうを絵に描いたような男である。出身はスマトラで、バタック人である。バタック人のことをジャワ人はあまり良く言わない。この運転手も悪い男ではなかったが、とにかく態度が横柄であった。そんな性なのだろう。ただお金をごまかしたりすることは一切なかったので、その点では信頼していたのだけど。

不潔である。いや不潔に見えるのだ。髪が鳥の巣のようにぼさぼさしており、これを毎朝洗ってこないものだから、虫が湧いてきそうな感じで、また非常に汗臭く、ある朝「明日から、仕事前に水浴びしてこい!」と注文をつけたぐらいだ。

ほとんど口をきかない。こちらが黙っていると「どちらへ」というので、「オフィス!」といったら、無言でオフィスに向かう男であった。「おい、きこえてるの?」と二度繰り返せばようやく「YA…」と小声で返事する。

普通これだけ嫌なことがあれば、「さすがのハルさんも耐えかねたのね」と言われそうだが、くびにした理由はそうではない。

運転がとてつもなく『荒い』のである。

(次号に続く)


※過去人気のあった(?)シリーズを加筆修正してお届けしています。

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