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「エンガン」
西 祥郎

「エンガン第5回」

しかし、ミナンカバウ王の后はその結婚に難色を示しました。ロンカン王女は将来、女王となってこの国を治める人間であり、その夫はこの王宮に婿入りしなければならない、と主張します。エンガン王子が婿入りしてくれれば、それでよし。もしエンガン王子ができないというのなら、ロンカンの夫はエンガン王子でなくとも良いではないか、と言うのです。ロンカンにとってそれは聞けない話でした。王女は父王の支持を求め、父王は妻を説得しました。后はそれ以上反対できなくなって、不承不承、娘を手放すことに同意します。こうして王国のすべての人間が祝福する中で、エンガン王子とロンカン王女の華燭の宴があでやかに催されるのでした。愛し合うふたりの連れ添う姿は、輝くばかりの幸福をあたりに振りまき、見る人のすべてにその幸せを分け与えます。

三日三晩続いた結婚披露の宴が終わると、ついにエンガン王子が領国に戻る日がやってきました。しかし王子はもはや、パガルユンにやってきたときの王子ではありません。愛する人を伴って戻るのです。一行は希望に満ちた新しい暮らしが待っている王子の領国へと向かいました。行列は来た時の二倍に膨れ上がっています。ロンカン王女に付き従って新しい土地で暮らす侍女たちと、道中の安全を守るためにミナンカバウ王がつけた警護の兵士たちが新たにそこに加わったのです。

ミナンカバウのひとびとは総出でその一行を見送りました。敬愛する王女が素敵な伴侶を得たことをわがことのように喜び、また同時に、領内を回って自分たちの暮らしに親身に接してくれた王女がもういなくなるという悲しみをかみしめながら、領民たちはシンガランを指して視界から消えて行く一行にいつまでもいつまでも手を振っていました。[ 続く ]

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この作品は西さんの提供です


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