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「クラカタウ」
西 祥郎

「クラカタウ(31)」

一行はそそくさと足を速めてそこから立ち去った。パレンバン者たちが副郡長に追い払われた理由とそのときの状況を目の前で見ていたミクンは、行者の妻と娘がこんな夜中にパレンバン者たちに従って下山するのを不思議に思った。かれらはいったいどこへ行くのだろうか。ミクンは密かに一行の跡をつけた。
     
海岸に向かって進む一行はおよそ一時間ほどでタンジュンクタパンに近い海岸に着いた。少し沖合いに大型の帆船が停泊しており、帆が張られている。そしてマストには青色の燈火が掲げられていた。懐中電灯を持った男が光をその船に向けると、船からも光が海岸に向かって返され、その光は続いて海岸で待っていた小船を照らして一行の注意をそこへ導いた。刑事がヤティとレッナサリに言った。
「目的地まではまだ遠いがこんな夜では乗り物を用意することができない。船で行くことにするので、あれに乗ってくれ。」
従う以外に女たちにできることはない。女ふたりと刑事の部下たちは小船に乗り込み、小船は沖の帆船に向かって漕ぎ出した。しかし刑事は海岸に残って小船を見送っている。かれは同行しないのだ。刑事以外の全員が小船に乗り込む前、パレンバン者のひとりが刑事に厚い札束を手渡したのをミクンの目は見届けていた。
     
小船に乗り込んだ全員が帆船に乗り移ると、帆船は舳先をランプンに向けて滑り出した。甲板の隅に座って怯えているふたりの女を横目に見て、操舵手の近くに立っている身なりのよい男がにんまりと笑った。アブドゥル・シンティルだ。[ 続く ]

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この作品は西さんの提供です


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