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「クラカタウ」
西 祥郎

「クラカタウ(35)」

ラデン・ムリアは焦る気持ちを鎮めながら風雨の弱まるのを待ち、午前4時過ぎに天候が回復してきたので愛用のオートバイにまたがってスカラメ町へ向かった。到着すると山頂から下りてきた町長たちが町役場にいて、山頂の状況が副郡長に報告された。ラデン・ムリアは山頂に登ってヌサ・ブラマに会うのをやめ、帆船を追うために警察の蒸気船があるラブアンへ向かうことにした。スカラメ町長には、問題の帆船を見張らせて見つけたらすぐにその所在を報告するよう海岸沿いの村々に伝達することを命じた。こうしてパサウラン村近くで発見された帆船の報が山頂へ届けられたのだが、スカラメ町長はその報告を携えて自分もラブアンへ向かった。ラデン・ムリアに報告するためだ。
     
ラデン・ムリアはラブアンで警察の蒸気船を徴用した。野戦警官三人が従う。あまりにも早朝だったために蒸気船の乗組員がまだ勤務についておらず、それを呼び出すので時間を取られてしまった。乗組員が集まり、スカラメ町長も来て、蒸気船は帆船の追跡に出発した。チャリタ湾まで来たとき、海岸で白いハンカチを振って合図している男がいた。あれはチワリラン山頂に送った伝令だ、とスカラメ町長が言う。海岸の男は蒸気船が止まったので小船を漕いでやってきた。タンジュンバンクアンにいた帆船はクラカタウに向けて動き出しており、また行者がクラカタウの爆発を予言して島に近寄らないよう忠告したことをその伝令は船上のみんなに告げた。ラデン・ムリアはその話しにただ微笑だけを返した。船上のだれもが行者の予言が信じられるかどうかの議論を始めたが、ラデン・ムリアは全員に向かってきっぱりと言い切った。「それを信じるか否かはいま問題ではなく、自分は犯罪者を捕らえる任務を遂行するだけである。」そう言ってから船の針路をクラカタウに向けさせた。

[ 続く ]

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この作品は西さんの提供です


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