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「クラカタウ」
西 祥郎

「クラカタウ(37)」

帆船はすでにクラカタウのカルデラ中央にまで達している。警察蒸気船がこれからその内海に進入しようとしていたとき、海底から突然地鳴りが湧き起こって海面が大きく上下した。蒸気船はその海域への進入をやめてUターンする。一方カルデラの中央あたりでは海中から大きな岩や泥がおよそ5メートルほど海面上に噴き上げられる光景が展開された。帆船が無事でいられるわけがない。帆船の舳先がマストの高さほどまで持ち上げられ、そのあと海面を強く叩いた。続いて次の爆発が海底で起こった。海面がもう一度大きく揺り動かされ、帆船は転倒した。船に乗っていた人間はすべて荒れ狂う海中に投げ出される。阿鼻叫喚の声が蒸気船まで聞こえてきた。ラデン・ムリアは機関士に命じた。カルデラ内に船を乗り入れよ。ふたりの女性を救助するのだ。蒸気船内のすべての者が目を皿のようにして女たちを探す。板につかまって漂っていたふたりが発見されて船上に引き上げられた。海底の地鳴りは収まる気配がない。ラデン・ムリアは決断した。すぐにここから退避せよ。船はカルデラの外に向かう。ほんの一分後に三度目の爆発が起こった。蒸気船は激しく揺さぶられたがなんとか乗り切って外海に出ることができた。しかし横転していた帆船はその爆発で空中に跳ね飛ばされたあと落下して海中に沈んだ。帆船から振り落とされて海面でうごめいていた者たちの姿は一人残らず消え失せていた。

45年もの間休眠を続けていたクラカタウ火山が再び活動を始めたのだ。蒸気船に乗っていたすべての者の脳裏にヌサ・ブラマの予言が浮かんでいた。みんなの目の前で繰り広げられた悪人たちの最期とこのクラカタウの爆発はあの行者の力によるものだったのだろうか?

[ 続く ]

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この作品は西さんの提供です


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