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「クラカタウ」
西 祥郎

「クラカタウ(40)」

副郡長役所の中ではもう会見が一段落したらしく県令夫妻は外へ出てこようとしていた。ラデン・ムリアはそれを押し留めた。
「父上、母上、聞いていただきたいことがあります。」改まった前口上に親たちは再び座に着いた。レッナサリとルッミニも入ってきて席に着く。全員がそろったところでラデン・ムリアは立ち上がり、レッナサリの母に質問した。
「あなたの本当の名前は何ですか?」
「ヤティです。」
「間違いありませんか?その名前を付けたのは誰です?」
「わたしの親の行者アシェカです。」
「あなたの夫は誰ですか?」
「行者ヌサ・ブラマです。」
「行者ヌサ・ブラマの親は誰ですか?」
「行者アシェカ。」
「そうすると兄妹で夫婦になったということになりますね。」
「いえいえ、行者アシェカはわたしの養父です。」
「ならばあなたを生んだ両親はだれですか?」
「わたしはとても小さいころに行者アシェカに拾われたので、生みの親を覚えていません。」
「行者アシェカに拾われる前のことを何か覚えていませんか?どんな家に住んでいたか、家族は何人いたか?」
「あまりにも古いことでわたしもまだ小さかったから、覚えていないわ。」
「ならばクラカタウ火山が爆発した45年前のことはどうですか?」
「うっすらと覚えています。真っ暗で灰の雨が降り、落雷の大きな音で耳が変になりました。」
「そのときはどこにいました?」
「覚えていません。」
「水田の中にいましたか?船に乗っていましたか?それとも馬車に・・・?」
「あっ、馬車だったわ。」

[ 続く ]

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この作品は西さんの提供です


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