大塚智彦の現地生活ルポ
ブロックMの灯り再び、しかしまださみしい現状

ジャカルタ南部の日本人街とも言われる日系食材店「パパイヤ」や日本食レストラン、居酒屋、カラオケなどが「密集する一角」であるブロックMでは6月4日以降のジャカルタの「大規模社会制限(PSBB)」緩和の流れの中で日本食レストラン、居酒屋などが次々と再開して暖簾を出し始めている。

6月22日には焼き鳥専門店「鳥一」が4月9日の営業一時中止以来、実に2カ月ぶりの再開の日を迎えた。「鳥一」では午後4時過ぎ、マスクにフェイスシールドといういで立ちの調理人、板前、ウェイトレス、レジ係などが一堂に介して、ミーティングが始まった。



女将の小池洋美さんが全員にコロナウイルス感染防止対策を徹底して気持ちよくお客さんを迎えようと話し、最後は全員で輪になり「鳥一頑張ります、よしゃ」と元気に掛け声をかけた。

再開初日にも日本人、インドネシア人、韓国人などから約20人の予約が入っており、まずまずの滑り出しになりそうで、とにもかくにも再開に漕ぎつけたことで女将小池さんも「とにかく安心しました」と安堵の声を漏らす。

ブロックM全体では「穂の香」「丸福」「丹波」などの日本食レストランや居酒屋はいずれもすでに営業を再開しており、日本食飢餓状態にあった在留日本人、日本食大好きインドネシア人や外国人を迎える態勢を整えている。



しかし界隈でも数が多いカラオケ店はいまだに営業再開が認められていないため、ブロックM全体では夕暮れととともにネオンが灯るのがレストランと居酒屋だけというさみしさが残る。

きらびやかなカラオケのネオンと呼び込みの掛け声、行きかう人々のざわめき、露天で食事するインドネシア人の運転手や警備員たちの談笑と紫煙といった往時の盛り場の賑わいが完全に戻るのはいつのことになるだろうか。



そんな不安を抱かせるものの、まずは腹ごしらえ、美食と美酒に酔おうという日本人たちがレストランや居酒屋のネオンに誘われて暖簾をくぐる姿が見られた。

ブロックMの完全復活に向けた第1歩は間違いなく踏み出された。


大塚智彦プロフィール~1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など



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