大塚智彦の現地生活ルポ
タケノコ診療所 往診サービス開始①
コロナ禍、来院できない患者の自宅に医師らが往診

往診サービスなどの電話連絡を受ける受付の女性

コロナウイルスの影響で自宅待機を余儀なくされ、外出自粛の余波が続くインドネシアのジャカルタで、日系の医療機関である「タケノコ診療所(クリニック)」が新たな試みとして「往診サービス」を8月から始めた。

かつて日本では白衣を着た医師が診療カバンを持った看護師を伴って家庭を訪問して診察、治療することは決して珍しい光景ではなかった。畳の部屋の布団に横になり水枕や氷嚢を額に乗せた患者の枕元には水の張られた洗面器。体温や脈を診て、聴診器による心音、喉の腫れなどをチェックして診察や注射などの簡単な治療を終えた医師が洗面器で手を洗いながら「まあ軽い風邪でしょう、2,3日安静にしていれば大丈夫ですね」などと家人に話すというようなドラマの1シーンみたいな光景が実際に行われていた。

そうした日本人にはある意味では懐かしい「往診」をジャカルタで「タケノコ診療所」が始めたのだ。たぶん日系の医療機関としては初めての試みでインドネシアの医療機関でも常設のサービスとして実施しているところは、一部の富裕層対象以外では例がないのではないだろうか。

「タケノコ診療所」の山田晴男先生は「コロナウイルスの影響で診療所や病院を訪れると感染の可能性があると考えて遠慮する患者さんがいることは事実。そうした患者さんに対し、来院できないなら医師と看護師がこちらか自宅やアパートの部屋を訪問しよう」という発想の転換が「往診サービス」に着手した「動機」と話す。

続きを読む
1 2 3 4 5

タケノコ診療所スディルマン
+62-21-57853958(日本語対応)

大塚智彦プロフィール~1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など



ジェイピープルメインページはこちら