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親しい人が癌の末期症状


Q ジャカルタ在住の30代、既婚、女、です。
直接的な病気の相談ではないのですが、このお話を聞いて頂きたいと思えるのが、今の私には先生だけなので、書かせていただきます。もしコメントをいただけたら幸いです。

今、私の近しい人(日本在住、50歳)が癌の末期症状にあります。その人は、今年初めに人間ドックを受け、異常はありませんでした。その一ヶ月半後に、わき腹に痛みを覚え受診した結果、肝臓と膵臓に癌が見つかり、余命数ヶ月と宣告され現在に至っています。

私は今まで、定期的に検診を受けることが、そういった状況を免れる唯一の手段だと思っていました。が、これは私の考え違いだったのでしょうか。
検査の内容次第だというのは、素人の私にもなんとなく解ります。ただ、こういった事態を免れたいがために「人間ドック」という検診を定期的に受けきたし、夫にも受けてもらってきました。

自分の体調を把握する、ぐらいに思って、いざ厳しい病気にかかりすでに手遅れだとしても、それはもう仕方の無いこと、と思うべきなのでしょうか。「検診で見つかる」ということ自体がまれな幸運だと。それならそれで、私の中ではすっきりするのですが。

簡単ではないのですが、個人的な認識として読んでください。

> 私は今まで、定期的に検診を受けることが、そういった状況を免れる唯一の手段だと思っていました。が、これは私の考え違いだったので しょうか。

間違いではないと思いますが、人間ドックはスクリーニングに過ぎないものですから、健康の目安になっても、健康の100%の保障にはならないということです。

症状もないから、一般健康診断をするわけで、ある程度の目の詰まった網で、さっとすくうような感じですね。 さまざまな項目での検査がそれなりに組み合わされ、かなり多くの病気をスクリーニングできるように工夫はされています。

> 検査の内容次第だというのは、素人の私にもなんとなく解ります。
> ただ、こういった事態を免れたいがために「人間ドック」という検診を定期的に受けきたし、夫にも受けてもらってきました。


繰り返しのなりますが、人間ドックで異常がないからといって、完全な健康は保障されません。あくまで、調べた限りでは・・ということだと思います。しかし、それでも十分病気発見に貢献してきたのだと思います。一番問題になっているのは、癌に対してですが、癌をスクリーニングできなかった例は、確かに多くあります。

癌は初期には、血液検査でも、レントゲン超音波等の映像を駆使した検査でもすり抜けてしまう可能性がある病気です。 人間ドックで早期発見できていれば・・というお気持はよく分かりますが、とくにすい臓や卵巣の癌を初期のうちに発見することは、現在のシステムでは困難なことが多いでしょう

> 自分の体調を把握する、ぐらいに思って、いざ厳しい病気にかかり、 すでに手遅れだとしても、それはもう仕方の無いこと、と思うべきなのでしょうか。

しかたがないのではないと思います。しかし現在の一般的な人間ドックシステムでは、スクリーニングの網の目をすり抜ける病気もあるということで、そのひとつが癌でしょう。

腫瘍マーカーという癌発見の目安になる血液検査もありますが、精度は、参考値として有用・・という程度です。ごく普通の人間ドックでは、数万円の費用でできる検査しかできないわけで、そこにはおのずと限界があるということです。

人間ドックの精度をあげて、早期発見の確率を上げようとすると、たとえば、PETという数ミリ単位で身体の各部分を断層撮影する新しいシステムも始まっています。数十万円の費用がかかります。

> 「検診で見つかる」ということ自体がまれな幸運だと。それならそれで、私の中ではすっきりするのですが。


まだ医学は初期の癌を完全にスクリーニングする技術を持っていません。程度問題ですが、数ミリ単位なら発見できるシステムができてきたということで、今後コストの問題が解決できれば普及すると思います。また遺伝子解析が進めば、癌を発生前に食い止めることもできるかもしれません。

付けたし

ある医学者によれば、初期癌を見つけるための検診は、あまり意味がないそうです。なぜなら、初期の癌はできては消える癌もどきも多く、初期のうちに発見されてよかった・・といわれても、もともと癌ではなく、癌もどきなので、きらなくても大丈夫だったはずだからというものです。

一般に癌は、初期癌がだんだん大きくなって進行癌になる・・と言われていますが、そうばかりでなく、突然変異てきに進行癌になるという発生のメカニズムに異論があり、この議論もまだ決着がついていないという現状です。

胃がんの原因のひとつが、細菌だったというのも、誰も思っても見なかったことですが、今ではまったく普通のことで、胃がんを発見する努力より、細菌を退治する方向へ医療が向かっているのも時代の変化です。

ご質問にたいする答えになっていないかもしれません。ご容赦ください。

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